バス,タクシーと,西安市内の交通手段を紹介してきましたが,今回は締めくくりとして裏の交通を紹介します。
バスですと,やはり大まかな移動しかできず,バス停が近くにない場所への移動はちょっと不便です。かと言って,タクシーはお金がかかるので気軽には使いたくないものです。
では,どこでも指定する場所に行ってくれて,かつ料金が安い乗り物はないのでしょうか?
あるんです。それは…
これです。名前は「三輪車」(サンルンチェー)。基本的には屋根付きのバイクです。
この三輪車の魅力は,料金が安いこと,それにタクシーでも入っていけない細い路地もどんどん入って行けること。残念ながら乗ったことがないので厳密な料金ははっきり分かりませんが,数元程度のものです。スピードは期待できませんが,二人から四人は乗れるので,方向が同じ見知らぬ人と割り勘で払うとかなり安く上がります。
運転手たちはよく地名を叫びながら,そこまで行く人たちに一緒に乗るように勧め,3,4人が乗ると出発します。一応屋根もあるので,雨風も少しは防げます。
もう一つは…
これです。なんだ,単なるバイクじゃないかと思う方もいらっしゃるでしょう。そうです。単なるバイクです。後ろの椅子に座り,オッチャンに抱きついて乗ります。最大三人乗りしているのを見たことがあります。
屋根がないのが不便ですが,それでもスピードと乗り心地は三輪車より随分良いです。狭い所や渋滞もスイスイ行きます。値段も高くありません。この前ある女の子たちが声を掛けられていて,どこそこまで6元でどうだと言われ,断ると,じゃあ4元でどうだといきなり値引きしていました。
ただ,これらの乗り物には最大の欠点があります。それは,「非合法」だということです。つまり,無許可営業なんです。政府はこの手のものを認可していませんので,事故など何か問題が生じても保護を期待することはできません。料金に関しても何のきまりもないので文句も言えません。
この三輪車もバイクもバスの便利が良くない場所の近くなど特定の場所によく集まっているのですが,パトカーや白バイが来るとクモの子を散らすように慌てて逃げて行きます。
時々,逃げ遅れて警察につかまっている人たちも見かけます。でも,しばらくするとまたみんな戻って来て,何事もなかったかのように地名を叫びながら行き交う人に声を掛けて営業を再開します。何ともたくましい限りです。
ちなみに,若い男性の場合,「よぉ,兄ちゃん!」に相当する「シャオ ホーズ」と呼びかけられるのですが,私にはそれがいつも「シャオ ホウズ」(小猿のこと)と呼ばれているように聞こえて,個人的には微妙に気持ち良くないです(ただの勘違いなんですが)。
繰り返しますが,これらの乗り物は違法です。庶民にとっては安価で便利な手段となってはいますが,やはり公共の乗り物のように気軽に安心して乗るわけにはいきません。もし使うとすれば,リスクを覚悟して自己責任でお使いください。旅行などの場合なら,誘われてもよくよく考えて決めましょう。