さて、いよいよ改札を通ってみましょう。
前編で書いた「長安通カード」をかざすだけです。切符を買って乗らなかったので定かではありませんが、確か切符もかざすだけで投入する方式ではなかったと思います。
階段は1階層分だけ。思ったほどは深くなかったです。大江戸線に比べれば4分の1もないでしょうかね(って、大江戸線が深過ぎるんですが)。
ホームにはガラスの壁があります。天井からホーム地面までの、南北線とかと同じタイプです。個人的にはこのタイプが安心感があって良いです。大江戸線なんか、電車に跳ねられそうな気がしますし、飛び込み自殺なんかもされちゃいそうです。丸の内線などの低いタイプの壁も、安全効果自体は悪くないでしょうけど、なんか中途半端に感じてあまり好きになれないですね。それに、全面ガラス壁タイプだと、電車への落書き防止にもなると思います(ガラス壁自体に落書きされたら防ぎようはないですけど)。
でも、西安で全面ガラス壁タイプが採用された主な理由は、事故防止でも自殺防止でも落書き防止でもなく、他にあると私は思っています。恐らく、ゴミ防止でしょう。地上の西安を体験すればすぐに分かりますが、何でもポイポイ投げ捨てられています。日本では路上にバナナの皮が落ちいてるなんてのは昭和時代のマンガだけの世界ですが、ここではそれがごく普通に見られます。もしホームに壁がない、あるいは低い壁しかなかったら、たぶん線路は一夜にしてゴミだらけでしょう。まず絶対に瓜子(ひまわりの種)の殻、栗の皮、みかんの皮などが落ちてるでしょうね。当然バナナの皮も。リンゴの皮は落ちてないと思います。そのまま皮を剥かずに丸かじりますから。他には、ティッシュ、ビニール袋、新聞紙、チラシ、ペットボトル、カップラーメンの容器なんかも必ず落ちてるでしょうね。三日もほっておけば運行不能に陥ることでしょう。
ただ、このガラス壁、最近中国で問題になってますが、爆発の危険があるそうです。今年に入って、強化ガラス製の浴室や廊下の壁が突如爆発するという事故が中国各地で相次いで起きていて、上海では7月に地下鉄ホームのガラス壁が爆発する事故が発生しています。こんなニュースを聞くと、今ここで写真を撮っている場合なんだろうかと不安になります。
と、あれこれ思い巡らしている間に電車到着です。
運行間隔は約9分とか。1時間待っても来ないバスと比べると天と地の差ですね。
これが車内。始発から乗ったらこんな感じでした。まだまだ利用客が少ないんだなぁ、と思っていたら、3、4駅行ったらそこそこ満員に近くなっていました。意外に利用されているんですね。全体的にお金持ち風な客が多かったですから、やはり庶民にはまだ値段が高めなのでしょうか。
西安人は地下鉄初めてな人も少なくないからか、若干緊張気味でソワソワしてるように見受けられました。座席から珍しそうに車内をキョロキョロ見渡していたり、すぐに降りないのに空いている奥のほうへ行かずにドア付近にかたまって窮屈そうにしていたり、対面座席に慣れてないので向かい側の人に見られているように感じて絶えずチラチラと気にしていたり、という人が1人や2人ではありませんでした。まぁそのうち、北京や上海みたいに初めから何でもなかったかのよう平然とした顔で乗るようになるんでしょうけどね。
国際展示場から北門まで乗って30分ほど。待ち時間も短く、目立った混雑もなく、何より時間が当てになるので、落盤やガラス壁爆発さえ心配しないようにすれば、少々高くてもバスより良いと思います。まだ1路線だけですので、早く全面開通して欲しいです。