寒い日にはアツアツの砂鍋を。

 ずっと-10℃前後が続いてましたが、この2,3日陽射しも良く、日中は暖かくさえ感じられますが、それでもまだまだ朝晩は氷点下。寒い夜はやはり鍋が恋しくなるものです。

 日本人にとって、鍋と言うと、大勢で囲んでワイワイ食べる物というイメージですが、それは中国も同じで、いわゆる「火鍋」がそれに相当します。

 ですが、中国にはもう一つ別の「鍋」がありまして、これも冬には欠かせない食べ物となっています。

 聞いたことがある方もおられるかも知れませんね、「砂鍋」という鍋です。

 砂鍋と書きますが、要は土鍋のことだと思っていただけば分かりやすいかと思います。(材質的には土鍋よりは丈夫なものですが。)

 ただ、基本的にはサイズは一人前。数人でつついて食べるのではなく、一人一つずつ食べるタイプです。

 また、「火鍋」と違ってテーブルで加熱する装置はなく、目の前で肉や野菜を入れるのではなくて、具材を厨房で煮立ててでき上がったものが運ばれてきます。

 冷めちゃうんじゃないの?と心配される方もあるかも知れませんが、油分でスープの表面も保護されているため、かなりの高温で長時間熱せられた砂鍋は、20分経ってもなかなか冷めません。ずっとアツアツが食べられる、冬にはうってつけの料理です。

 メニューで選ぶのは、スープの味と主食材だけで、あとの具材は一律でセットされています。

 スープの味は、あっさりの「三鮮」、辛口の「香辣」、ヒリ辛の「麻辣」などです。

 主食材は豊富なラインナップがあり、刀削麺、粉帯(手擀粉も同じ。サツマイモやジャガイモの澱粉で作ったきし麺状の麺)、土豆粉(ジャガイモの澱粉で作ったうどんみたいな麺)、麻食(パスタで言えばコンキッリェ)、米線(ビーフン)、さらにはインスタントラーメンまであります。
 それぞれ、「砂鍋刀削麺」とか「砂鍋土豆粉」などそのまま名前になっていて、その名前で注文します。(店によっては「粉帯砂鍋」「米線砂鍋」などと順番が逆のこともあります。)

 これは、砂鍋粉帯、味は香辣です。

 これは、砂鍋土豆粉、これも味は香辣です。

 ベースのスープは三鮮で、それに唐辛子を入れて香辣になり、麻辣だと山椒(花椒)も加わります。

 ですので、混ぜる前だと、スープも澄んでキレイです。

 これを混ぜると……

 日本で言えば激辛レベルに早変わり。でも、これがまた堪りません!

 入っている具材はお店によって異なりますが、一般的な砂鍋には、肉団子、ソーセージ、青菜、パクチー、豆腐、冬瓜、ジャガイモの薄切り、豆腐皮、細切り昆布、えのき茸、椎茸、黒木耳などが入っています。

 また大抵のお店で、主食材がいらない人のために、その代わりに別の具材を多めに入れるバージョンも用意されています。
 例えば、「砂鍋純菜」は野菜たっぷり、「砂鍋豆腐」は豆腐たっぷり、「砂鍋肉丸」は肉団子たっぷり、といった具合です。
 ちなみに、以前食べたお店で砂鍋豆腐を頼んだら、ほぼ一丁分の豆腐が入っていました。
 これらのバージョンにご飯を一緒に注文するのもオススメです。

 味の良し悪しは、やはりスープで決まります。ダシを上手にとっているお店の砂鍋はとてもおいしいですが、化学調味料や塩気がキツイお店のはいくらアツアツでも心は興冷めしてしまいます。

 あと、《楊記砂鍋》のように、数人で一緒に食べられる大きな砂鍋を用意しているお店もあります。2~3人前や3~4人前があって、値段はちょっと高めですが、具材も一人用より豪華になっています。

 ご飯茶碗と比べるとその大きさが分かるかと思います。

 一人用の4倍くらいの大きさです。

 とはいえ、個人的にはやはり砂鍋の醍醐味は“一人でも食べられる鍋”にあると思います。

 西安の特色料理ではないんですが、冬の西安旅行では特にオススメの一品です。
 寒い冬に西安にお越しの際には、ぜひアツアツの砂鍋を試してみてください。

しろべえ

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